「7階のおじいちゃん」と
妻と私はいつも呼んでいた。
ご近所さんだが
名前は知らない。
たぶんヨーロッパからの
移民で、少し小太り。
グレーの髭をたくわえ
いつもベレー帽をかぶっていた。
日本から出張で
帰ってきた眠い朝も、
妻を駅まで迎えに
いった夕方も
おじいちゃんはいつも
タバコを吸っていた。
いつもいつも。
そんなおじいちゃんが
先週救急車で運ばれた。
そして。
金曜朝にはいつも
おじいちゃんがタバコ
吸っていた場所に
お花が飾ってあった。
今朝見たら透明な
十字架が添えてあった。
もう二度とあの笑顔は
見れない。
タバコがカラダによくない
ことはわかっていたであろう。
でも、それもおじいちゃんなりの
生き方。
ご冥福をお祈りします。
今日のニューヨークは雨。
しとしと朝から降っている。